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6.5



side 秋広

「おい 秋広。お前本当に仲尾と付き合ってねぇの?俺絶対お前嘘吐いてると思うんだけど」
「何でだよ」
「だってさ、最近部活ある日でもお前ら一緒に帰ってるじゃん。今までのお前からすると考えられないこと だぜ?女と帰るなんて」
「別に、そんな詮索するほどのもんでもねぇよ」

大志にはそう言ったけど、俺自身今の状況にかなり驚いていた。
だってあいつに持ちかけられた期間限定の付き合いという話。あれを聞いたとき、俺のあいつに対する評価 は最低の二文字だった。でも、今はどうだろう?別にあいつのことをそれほどまでに最低だとは思えなくな ってしまった。そもそも、俺があいつのことを最低だと言い切った次の日。誰だこいつは?ぐらいの変化で あいつは俺の前に現れた。
昨日のこいつはもっと意地汚い奴だったはずなんだけどな、という疑問だけが俺の頭の中をグルグル回って いた。
どっちが本当の仲尾なのか分からずに、ずるずると今までやってきた。その結果がこれだ。
俺自身、正直な話 仲尾といるのは楽しい。最初の印象は最悪だったけれど、ちゃんと仲尾という人物を知っ ていくと そう悪い奴じゃないようだった。実際、仲尾の悪い噂はまったく聞かない。

なら、俺を脅してきたときのあいつは一体何だったんだろう?

日に日に募っていくその疑問に答えてくれる人は、誰もいない。

「尾沢君!!今日も部活終わるの待ってていい?」
「勝手にすれば」

すべての授業を終えて、急いでやって来る君の足音をもう分かるようになってしまったよ。
今では、その足音が聞こえてくるのを心待ちにしているようなんだ。


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