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初恋〜茜の場合〜

いつも声を掛けたくて、でも掛けれなくて。
あの日はチャンスだったのに、私は感じ悪く逃げてしまった。あなたはそんな私を見てどう思っただろう。
私のことなんかすでに忘れてしまっただろうか?

でも、

あなたの記憶の中に私が残っていなくても、私はあの雨の日を絶対に忘れない。

だってその日。

私は初めてあなたと話せたんだから‥‥。



「おはよう」
「おはようございます」

校門の前で毎朝行われている朝の挨拶運動。
いつもいつも朝学校の校門を通るが、憂鬱でたまらなかった。
これからつまらない学校生活が始まるのかと思ったら、嫌で嫌でしかたがなかった。

でも、生徒会長の選挙のとき 壇上に立って演説していた永野 修哉君を見てから、すべてが変わった。

あの日 私は一目惚れというものをして、初めての恋に落ちた。
少し遅い初恋かもしれない。でも、これが私の正真正銘の初恋だった。
こんな気持ちになるのは初めてだった。
挨拶したくても、永野君の前までくると 緊張で胸が張り裂けそうになって、結局いつも挨拶が出来ずにいる。

そして今日も‥‥‥

「おはよう」
「‥‥‥‥」

下を向いたまま、永野君の顔すらも見ることが出来ずに通過。

情けなさ過ぎて、涙が出そうになる。
そもそも、私が永野君と初めて話したあの日も、かなり情けない行動をしていたはずだ‥‥‥‥

「もうっ何で突然雨なんか降ってくるのよ〜!!」

学校に忘れ物をしていたことに気付いた私は、急いで学校に引き返していたところだった。
数分前には降っていなかった雨。
学校にあともう少しで着くっていう頃に起こった予定外の出来事だった。

何で、あともう少しだけ我慢してくれなかったのよ。
あともう少しで 学校に着くところなのに‥‥。
せめて、私が校舎内に入ったところで雨が降ってくれれば‥‥。
でも、帰る頃に雨降ってたら結局同じことか。だって私傘なんか持ってないし。
あっ、先生に傘借りればすむことか!!

心の中でぶつぶつ雨に文句言っていたのがきっと悪かったのだ。
その数秒後、もうすぐ校舎に入れるってところで、

バシャッ

私は こけた。
二度目の予定外の出来事だった。

正直、ありえない。と 私は思った。
とっさに起き上がることも出来ずに、しばらく呆然と土の上に突っ伏していた。

―――何で、こけてんの?こんなところで。馬鹿じゃん私‥‥。

「大丈夫か?」

半分、このままここで倒れとこっかなぁ。なんて馬鹿な考えを持った瞬間のことだった。
聞き覚えのある声にハッとする。
心なしか不機嫌そうな声に聞こえるのは、きっと雨の中でこけている私を見て呆れているのだろう。
でも、その時の私は そんなことを冷静に考えている余裕は無かった。

だって、私に声をかけてくれた上 抱え起してくれたのは、
私の片想いの相手・永野君だったから。

頭の中 真っ白になって、そのまま気を失いそうになるのを必死に堪えて出た一言は‥‥‥

「大丈夫です」

もう少しましな答えかたは出来なかったのか?と、後悔したのは落ち着きを取り戻し始めた、帰る間際のこと。

今思えば、一番予定外だった出来事は、三度目に起こった永野君との初めての会話だった。
会話といっても、一言だけ交わしただけなのだが‥‥。
私にとっては、そのたった一言の会話がもの凄く大切なものだった。

「今日も挨拶できなかったの?茜」
「え?あ、うん」

呆れた顔をして、盛大にため息をつく目の前の友人。

「明日は、頑張りなさいよ?チャンスは大事にしなきゃ」
「うん。‥‥そうだよね」

いつまでもチャンスがあるとは限らないんだから、勇気を出さなきゃ。
たった一言。
おはようって、言えればそれでいい。
今はまだ、それだけで充分。

どうか明日こそは 挨拶出来ますように。と祈らずにはいられない朝の終わり。


***あとがき***
とりあえずこれで、この話は終わりです♪
続きを書くかどうかは、私の気分次第です。時間があればというより、話が思い付けば書く予定(汗)
なんかね、初恋ってこんな感じじゃないですか??
と言っても、今時高校生で初恋なんてありえるのでしょうか?
いや、あると信じたい!!きっとある!!ちなみに私の初恋は幼稚園ですが‥‥。
しかも外人さん。極め付けにプロポーズまでした私‥‥。何やってんだか自分(遠い目)
それでは、ここまでお付き合いくださりありがとうございました!!
2004.10.19 管理人:風花
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