NEXT | TOP

● 運命という輪の中で --- 第一章「出会い」(1) ●

出会いは突然やってくる。
私と君が出会ったのは、暑い暑い夏の日のことだった。

**********

「サマーフェスティバルの出し物のことですが、何か希望ないですか?」

今は7月。20日のサマーフェスティバルに向けて、計画をたてている最中だった。
高校に入学してから、初めての大きな行事ということで、1年生の生徒達は必要以上にはりきっていた。
ただ1人をのぞいては‥‥‥‥‥。

「委員長!明智の奴また寝てるけど」
「え?またぁ?」
「沙和。ねぇやばいよ。バレちゃったよ?おこられるよ。沙和、美和のこと怖いんでしょ?早く起きなってば」

肩を揺すられて起こされてるということは何となく分かる。
でも、起きる気がしないのはしょうがないでしょう。

「沙和!!いい加減にしなさい!!」
「いっっったぁ。なにもたたくことないじゃない!」
「あんたが寝てるからでしょ!?」

目の前で、私の頭を殴り、怒鳴りつけているのは私の双子の姉:美和だ。
怒るのは分かるけど殴ることはないと思わない?
だって、最近居眠りしているのにはちゃんとした理由がある。

「だって美和。私最近夜遅くまでチラシ描いてるんだよ?眠いに決まってるじゃない」
「‥‥‥チラシは誰かに頼まれたものなの?」
「うっ。ちっちがうけど、生徒会役員として自主的に‥‥‥ねぇ?」
「‥‥‥何が、ねぇ?よっ!フェスティバルを盛り上げようとがんばってるのは分かるけどねぇ、どうしてこの時間に寝るのよ!!計画立ててる大事な時間なのに!!」
「どうしてって、授業にはちゃんと出なきゃダメじゃない」
「沙和‥‥‥。一応これも授業の一つなんだけど‥‥‥」
「いいの!!生徒会のときと、家でがんばってるんだから!!」
「そういうことじゃないでしょう?!」
「なんでよ!!」
「明智姉妹。申し訳ないんだが、話を進めてくれるか?」

私達の言い合いを止めたのは、いつの間にか来ていた担任の野村先生だった。
野村先生は30代前半の独身男性だ。顔も性格も別に悪くないと思うんだけど、どうして独身なのかな?

「すいません。今進めます!‥‥‥沙和、今度寝たら夜ご飯なしね」
「えっ。うっうそ?!え〜やだ〜」
「沙和〜。あきらめてちゃんと起きてなよ」
「う〜。じゃあもし寝てたら起こしてね?明日香」
「いいけど、なるべく寝ないでね?起こすの大変だから」
「うん」

明日香っていうのは私の隣の席の子で、私の親友。とってもいい子なんだよ。

「明日香。沙和を甘やかしちゃダメよ」
「は〜い」

‥‥‥美和ってさぁ、私に対して厳しいよね。絶対厳しいって‥‥‥。

**********

クラスの出し物として、劇や占い館、カフェなどの意見が出たなか、決まったものは占い館だった。
まだ、何の占いをするかは決めていないけど、多分手相占いになるんじゃないかと思う。

「では、次に明智さん。1年生の出し物は全クラス決まりましたか?」

ちなみに今は、放課後の生徒会の集まりで、役員の私はクラス事の出し物を調査し報告する役目だった。

「はい。1組・演劇、2組・たこ焼き、3組・焼きそば、4組・お化け屋敷、5組・カフェ、6組・占い館です。
 場所の希望としては、1組が体育館を希望しています。他は特にありません」
「分かりました。座ってください」
「はい」
「では、次に近藤さん‥‥‥」

まぁ毎回こんなかんじで進んでいく生徒会を私はなかなか気に入っている。
美和は、どうしてあんたが役員になれたんだかって言うけれど、自分では結構向いてるような気がするんだ。
自分で言うのはアレだけど、私って要領いいと思うし‥‥‥。

「今日の生徒会はこれで終わります。おつかれさまでした」
「おつかれさまでした」

**********

「おつかれー沙和」
「ゴメンネー。待たせて。アレ?美和は?」

私が教室まで戻ると、いつも待ってくれている明日香はいたけど、美和の姿が見当たらなかった。

「あぁ美和はねぇ、遅い!!って言って先に帰っちゃった。なんか買い物しなきゃいけないしって言ってたし」
「ふ〜ん。じゃあ、帰ろっか」
「うん」

そして、今日も平和に終わる。いつもと変わらない毎日に、ちょっとした風が吹くのは明日のこと。
でも、今の私にそんな事が分かるはずもなかった。
NEXT | TOP
Copyright (c) 2004 huuka All rights reserved.
 


100MB無料ホームページ可愛いサーバロリポップClick Here!