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● キミのトナリ --- 2 ●

彼は マイペースで、抜けてそうに見えるけど すごく頼れるしっかりした人だった。


入学式に出会った彼、神楽 智樹と 私は同じクラスになった。
それを知ったあの日の帰り道、妙に気分がよかったことを覚えてる。そんなあの日から、もう 二週間が経った。あの時の彼は、偶然が偶然を呼んで‥‥‥私の隣に座っている。


「ねぇねぇ、神楽君。部活何に入るの〜?」
「―――‥‥バスケだけど、何で?」
「え〜?‥‥神楽君のいる部活のマネージャーしたいなぁ〜って思って〜」
「あぁ〜!!幸子ズル〜イ!!何二人で、話してるのよ!!」
「あっ!!ちょっと、私も入れてよ〜」


―――何となく‥‥‥ムカツク。

クラスが一緒で、席も隣同士で、また いろいろ話せるかなぁ?なんて 期待してた私だけど、そんなの夢のまた夢だった。何か知らないけど、入学してからというもの神楽の人気は順調に上がっていって、もうそろそろファンクラブも出来るらしい。

「―――‥‥愛想良すぎるのも、‥‥どうかと思うけど」
「何の話だ?」
「!?」

突然 誰にも聞こえないように言ったはずの独り言に、返事が返ってきて驚いた私は 伏せていた顔を上げた。

「―――‥‥何だ、江藤か‥‥‥」

同じクラスで、私と同じ保健委員の江藤。入学以来、なんとなく仲良くなった男友達第1号。

「何だとは 何だ?」
「‥‥‥聞き返さないで‥‥」
「まぁ いいや。今日さぁ、委員会あるってよ。その報告しに来たってわけ。‥‥でさ、ちょっと悪いんだけど 俺今日 委員会行けないからさ、一人でよろしく頼むな?」

江藤は顔の前で、両手を合わせて ありきたりなお願いポーズをとっている。

「え〜。‥‥‥別に いいけどさ」
「マジ?!サンキュー!!お前やっぱいい奴だな〜」

合わせていた両手を解いて、右手で私の頭をぐしゃぐしゃ撫でてきた。

「もう!!やめてってば!!」

「ねぇねぇ、もしかして‥‥江藤君と野波さんって付き合ってるの?」

突然 神楽に媚売っていた木ノ内 幸子が話し掛けてきた。
私と江藤が付き合ってるかって?バカじゃないの?んなわけないでしょ。

「実は そうなんだ。最近付き合い始めてさぁ〜」

江藤は 調子に乗ってテキトーなことを言い出した。
すかさず私は、江藤の頭を叩いて否定する。

「付き合ってないから。江藤とは ただの友達」
「何だよ〜。叩くことないだろ〜?ちょっとしたジョークじゃん」
「え〜?本当に付き合ってないの〜?すっごい 仲良さそうだけど」
「仲がいいだけ。疑うだけ時間のムダだよ」

まだ何か言ってるが、これ以上むきになっていうのもアレだし。私は無視を決め込んだ。

「 ? 」

今‥‥、神楽と目が合った‥‥‥?ような気がしたけど、すぐに目を逸らされたから 本当に合ってたのか分かんない。

あの日のことは、ちょっとリアルすぎた夢だったんじゃないかって、最近思うようになった。

「神楽〜!すまんが 教官室まで次の授業で使う資料を取りに来てくれんか〜?」

教室の入り口から 担任の教師が顔を出して、学級委員長でもある神楽が呼ばれた。

「はい。分かりました」
「神楽君〜。私も手伝おうか〜?」
「ん?あぁ、いいよいいよ。一人で大丈夫だから」

さわやかに笑って、神楽は教室を出て行った。


私の中の もやもやは、どんどん増すばかりだった。
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