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● キミのトナリ --- 3 ●

私は 彼に、恋をしているのだろうか‥‥‥‥?


結構前から、女の子と話している神楽を見ると 胸がチクチク痛むようになった。それが、恋なのか、それとも ただ いつまでたっても神楽と話せないでいる自分への苛立ちなのかは、分からない。

「何 ボーっとしてんだよ。次、体育だろ?みんな行っちまったぞ?」
「え‥‥?」

目の前に立つ江藤の顔は、誰がどこからどう見ても、呆れ顔だった。

「おいおい、しっかりしろよ〜?最近、お前ちょっと危なっかしいからな〜」
「そんなことないよ」

確かに、最近は気がつくと 神楽のことを考えていたりして、ボーっとすることが多くなってきていると思う‥‥。江藤も気付いてるし、そんなに分かりやすいのかな?まぁ、誰も 何を考えてるかまでは知らないと思うけどね。


「ねぇ。早く 外に出てくれない?もう、みんな集まってるからさ」


突然 教室に響き渡ったその声には、聞き覚えがあった。

「おぉ〜。悪い悪い。今すぐ、出るからさ。な?」
「‥‥え?‥あっ、うん」

教室の入り口に立って、私達二人を呼びに来たのは 誰でもない、神楽だった。たぶん、委員長だから 先生に頼まれたかなんかでわざわざ呼びに来たんだろう。心なしか、怒っているように見えた。私は、神楽に迷惑をかけたことを 申し訳なく思い、急いで教室から出ようとした。


「‥‥‥い‥んだね」

「え‥‥‥?」


すれ違いざまに、神楽は私に向かって何かを言ったようだった。でも、声が少し小さくて 何て言ったか聞き取れなかった。

「今 何て‥‥‥」

「お〜い!何やってんだよ?早く行くぞ!!」

もう〜〜。今それどころじゃないのに!!

「今 行くから〜!!」

私はとうの昔に出て行った江藤を追いかけて足早にその場を立ち去った。すこし‥‥いや かなり神楽のことを気にかけながら‥‥‥。



ドサッ

「神楽!?」
「神楽君!?」

それは 突然の出来事だった。
体育開始十分後、サッカーを始めた男子が衝突事故を起した。変な倒れ方をしたのが神楽で、ぶつかったのは江藤だった。

「おい 神楽!!大丈夫か!!今、保健室に‥‥。先生!俺、神楽を保健室に―――」
「いいって!お前は 試合してろ」
「でもっ!!」


「私っ、行きましょうか!?あの、‥‥私も保健委員だし」


気がつくと、そんな言葉を口にしていた。気付いてから、しまったと思ったが もう遅かった。

――――う〜。みんなの視線が 痛い。

「じゃあ、野波に任せるか。それで いいな?神楽」
「―――‥‥はい」

下を向いたまま返事をする 神楽の表情は分からない。迷惑だと 思われただろうか‥‥‥。


「えっと、歩ける?」
「‥‥うん」

彼のことが、好きなのかもしれない。そう気付いた 体育の時間。

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